研究概要 |
1.βー位に電子吸引基X(COOMe,COMe,CN)が2つ置換した塩化ビニル等と種々のPー置換チオフェノ-ルYC_6H_4SH(Y=H,NO_2,Cl,OMe Me,2,4,6ーMe_3)との塩基存在下の反応により,βー位にXが2つ置換した種々のビニルスルフィドを合成した。 2.1で合成したビニルスルフィドにジアゾアルカンR^1R^2CN_2(R^1R^2=HH,MeH,tーBuH,MeMe)を室温以下で反応させると、X=COOMeの場合R^1R^2=MeH以外のジアゾアルカンで,またX=COMe,R^1R^2=Me Me,tーBuHでピラゾリンが単離されたが,それ以外の場合やX=CNの場合は、ピラゾリンは単離されず速かにN_2をはなって分解した。 3.2の分解生成物ならびにピラゾリンを室温〜80℃に保った場合の生成物は,いずれも硫黄の転位したアリルスルフィドであり定量的に得られた。ただし、R^1R^2=tーBuHの場合は分解も遅くX=CNの場合シクロプロパン体を7〜25%副生した。また,X=COMeの場合は,アリルスルフィドの水素が1,5シフトしてエノ-ル体を与えた。 4.Yの電子供与性が大きくなる程分解速度は速くなり、log k_Y/k_H=-0.52(σ^++0.59△σ_<R+>)+0.01の式(X=COOMe,R^1R^2=HH,50℃)を汚足した。また,Yが電子供与性になる程転位生成物が多く生成した(X=CN,R^1R^2=tーBuHの場合)。更に,R^1R^2=MeHの場合,トランス体の方がシス体のピラゾリンより分解が速かった。 5X=CNの場合,いずれのジアゾアルカンについても生成したアリルスルフィドに過剰のジアゾアルカンが反応し1:2生成物を与えた。 6.以上述べたピラゾリン分解における硫黄原子の隣接基関与を3位にCOOMeの置換したチアクロモン系に拡張して,ジアゾメタンを反応させると環拡大した7員環アリルスルフィドを与え,これは更にHが1,5シフトしてベンゾチエピン体を与えることを確認した。
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