研究概要 |
平成3年及び4年の2年間に渡りピリド[1',2':1,2]イミダゾ[4,5-b]キノキサリン類(PIQ)の数々の置換基を有する誘導体の合成を行い、その蛍光特性などの物性を検討した。合成原料の2-アミノ-3-クロロキノキサリン(ACQ)はオルトフェニレンジアミンを出発原料としてシュウ酸によるジオキソ化、塩化チオニルによるジクロロ化、濃アンモニア水を加熱することにより発生するアンモニアガスを吹き込むことによるモノアミノ化により合成した。 合成したACQを用いて各種ピリジン類と反応させPIQ誘導体を合成した。4位にアルキン、-C_6H_5、-COCH_3、-COOC_2H_5を有するピリジンとは20〜70%の収率で対応する3位に置換基を有するPIQ類が生成した。3位に-CH_3、-CH_2C_6H_5、-C_6H_5、-COOC_2H_5、-CH_2OHを有するピリジンとACQは選択的に対応する4位に置換基を有するPIQを与えた。一方-COC_6H_5や-COOC_6H_5を3位に有するピリジンとACQは対応する2位に置換基を有するPIQを与えた。他に6位に-NO_2、-COC_6H_5を、6、7位にクロロまたはメチルを2個有するACQ類を合成し、4-t-Buピリジンと反応させることにより対応する9位に1個、また8、9位にクロロないしメチルを2個有する3-t-BuPIQ誘導体も得た。 これらPIQ類は450〜600nmに強い蛍光吸収を示し、蛍光量子収率は硫酸キニーネを標準(0.5)として0.4前後の強い値を示した。溶液中で酸化還元電位を測定したところ0から-1.5vの間に1組ないし2組の可逆的なCVが得られた。又固体の物性として有機薄膜電解発光(EL)を当大学の電子科で測定したところNO_2PIQは発光寿命の長いことからこのPIQ類は興味深いことが分かった。
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