研究概要 |
光学活性配位子の合成 キラルブロックである(2S,3S)-ブタン-2,3-ジオールをL-(+)-酒石酸より導びいた。Triton Bを触媒としてアクリロニトリルを(2S,3S)-ブタン-2,3-ジオールに付加させたのち、加水分解、塩素化を経て得られる酸塩化物をオルトフェニレンジアミンと反応させることによりジアミドを得た。さらにこのジアミドをジボランで還元することにより目的とする光学活性大環状配位子(1)を得た。 光学活性遷移金属錯体の合成 得られた配位子(1)と各種遷移金属塩との錯形成を試みたところ、MnCl_2,ZnCl_2,ZnSO_4とは錯体を形成しなかったが、Ni(ClO_4)_2,Ni(NO_3)_2,NiCl_2,CuSO_4,Cu(NO_3)_2とは錯体を形成した。 光学活性遷移金属錯体と光学活性アミンとの錯形成 (1)-Cu(NO_3)_2錯体の希薄メタノール溶液は肉眼ではほとんど無色である。これに(R)-1-(1-ナフチル)エチルアミンあるいは(S)-1-(1-ナフチル)エチルアミンを-60℃で加えたところ、R体の場合には溶液の色は紫色に変化し、一方、S体の場合には溶液の色は青色に変化した。以上のように、光学活性遷移金属錯体(1)-Cu(NO_3)_2はその吸収スペクトルの差として1-(1-ナフチル)エチルアミンの鏡像体を識別することを明らかにした。
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