研究課題/領域番号 |
03650715
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子物性・高分子材料
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 康之 東京農工大学, 工学部, 教授 (80015114)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1991年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | シスポリイソプレン / 末端基 / 生合成機構 / 古類 / 子実体 / チチタケ属 / ラテックス / 天然ポリイソプレン |
研究概要 |
天然ゴムの構造と生合成機構を調べるモデル系として、チチタケ属のキノコガラテックス状で産出する低分子量ポリイソプレンについて構造解析を行った。チチタケ属のキノコ10種について、ポリイソプレン含有率、分子量と分子量分布、末端基からの配列構造を求めた。ポリマ-含有率が約3%(対乾燥子実体)と高いチチタケ(Lactarius volemus)については、発生直後のもの、成熟したもの、老化したものに分類して調査した。L、volemus子実体からラテックスとして得たポリイソプレンは、ジメチルアリル末端、トランスイソプレン単位2個,シスイソプレン単位110個、不飽和脂肪酸エステル又は水酸基末端(約1対1)の順に配列した構造であることを決定した。子実体が成熟すると、シスイソプレン単位数が増加し、重合度は200〜300程度まで上昇した。この間に、開始と停止の両末端基は何らかの化学反応を受けて次第に構造変化することを見出した。老化した子実体では更にトランスイソプレン単位数も減少することが認められた。ポリマ-含有率が低い他のチチタケ属子実体では、上述の両末端基が全く検出されないもの、両末端もトランスイソプレン単位も検出されないものに分類された。以上の構造から、ポリイソプレの生合成は、ジメチルアリルピロリン酸から出発し、イソペンテニルピロリン酸が2回トランスイソプレン単位として縮合し、次に約100〜300個シスイソプレン単位として縮合するプロセスであることがわかった。重合の停止は生長末端と脂肪酸との反応によるエステル化であり、これは重合の初期から起こっていることが確かめられた。これらの結果から、ヘビヤ樹の生産する天然ゴムの場合には同様なプロセスで重合が進み、樹木中にラテックスとして保存されている間に末端基から構造変化するものと推定された。なお、古糸の培養から、チチタケのポリイソプレン合成は子実体中でのみ起こることが明らかとなった。
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