| 研究概要 |
強誘電性側鎖型高分子液晶の物性評価と機能化の観点から,化学構造と液晶形成能および高次構造の関係,さらに光学活性基の導入手法を検討した。また,強誘電性についての評価も行った。
1.実用上最も有望と考えられるキラルスメクティックC相を形成する化学構造についての知見を得るため,側鎖型高分子液晶のメソゲン側鎖基の化学構造とスメクティックC相形成および層構造との関係を調べた。その結果,末端鎖長が長い場合には,側鎖型高分子液晶はスメクティックC相を形成すること,スメクティックC相の層構造およびチルト角は末端鎖の長さおよび構造に依存して変化することがわかった。これらの結果は,末端鎖長およびその構造を制御することによって,層構造を制御できることを明らかにしている。
2.強誘電性発現に直接影響を与える光学活性基の導入手法について検討した。一般にはメソゲン側鎖基の末端に光学活性基が導入されるが,本研究では,骨格主鎖中およびスペーサ中へ光学活性基を導入した。さらに,光学活性モノマーとアキラルなメソゲンモノマーとの共重合によって高分子骨格に光学活性基を導入した。合成したいずれの系でも強誘電性が観測され,光学活性基の自由回転が束縛されることによって構造的不整性が保たれ安定な分極構造が形成されることを見いだした。これらの光学活性基の導入手法は,メソゲン側鎖基の末端に光学活性基を導入する方法に比べ,メソゲン側鎖基の構造の選択の幅が広がり,機能性材料の分子設計にとって効果的と考えられる。
3.一次構造および高次構造の制御にイオン結合を利用した分子設計を試み,それが効果的であることを確かめた。イオン性相互作用やその他の分子間相互作用の積極的活用は今後の材料開発において効果的であると考えられる。
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