研究概要 |
高分子材料の機械的破壊により、高分子主鎖の炭素-炭素結合が不均一に切断しメカノアニオン、メカノカチオンが生成することを予測した。 電子捕捉剤であるテトラシアノエチレン(TCNE)存在下で機械的破壊された高分子材料からTCNEアニオンラジカル(TCNE〓)の検知をもってメカノアニオンの生成を立証した。メカノアニオンは、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の機械的破壊により生成することが見出された。 イオン収率(不均一切断の割合)はPTFE(16%),PE(27%),PP(37%),PVDF(85%)と得られた。 メカノカチオンの生成は、PVDFメカノカチオンによるイソブチルビニルエーテル(IBVE)のカチオン重合の開始および生成されたポリイソブチルビニルエーテル(PIBVE)から立証した。得られたPIBVEの分子量はMw=6.2X10^4、Mn=2.3x10^4であった。 以上より、高分子材料の機械的破壊により、高分子主鎖の炭素-炭素結合が不均一に切断しメカノアニオン、メカノカチオンが生成すると結論した。また、イオン収率は、高分子主鎖の置換基の電子親和力に起因する主鎖の炭素-炭合の極性に依存し、極性が高いほどイオン収率が高い傾向を示すと結論した。
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