研究概要 |
本研究はガラス転移温度以下で側鎖が結晶化、融解できる新しいトリアジン系櫛状高分子を合成することを目的とした。すでにトリアジン環に結合するアミノ基あるいはアニリノ基は塩基で処理した後、ハロゲン化アルキルと反応されることにより、容易に長鎖アルキル基を導入できることを報告した。今回は、まづ2つのアミノアニリノ基を有するイソプロペニルトリアジンに塩化ステアロイルを反応させて熊2本の長鎖アルキルを導入した。このモノマ-からは高いガラス転移温度をもつ櫛状高分子が得られた。さらに、このマノマ-はアニリノ基のイミノ基へ2本のオクタデシル基の導入が可能であり、合計4本の長鎖アルキルを導入することができた。これらを多歯型櫛状高分子と命名した。また、アルキル化反応を各種のイソプロペニルトリアジンに適用し、1〜4本の長鎖アルキル基を導入したモノマ-を合成した。例えば、2,4ージアミノ-6ーイソプロペニルー1,3,5ートリアジンへは4本の長鎖アルキル基を導入することができた。長鎖アルキル基の本数の増加にともない、櫛状高分子の側鎖の結晶性の向上が見られたが、ガラス転移温度は低下した。ガラス転移温度を高めるため、酸誘導体との反応により、2ーアミノー4ーアニリノー6ーイソプロペニルー1,3,5ートリアジンに長鎖のアシル基を導入を検討した。この反応は一般には、2位のアミノ基がアシル化されるが、反応条件を変えることにより、4位のアニリノ基がアシル化されることを見いだした。これからは高いガラス転移温度を有する櫛状高分子が得られたが、分子間相互作用が強まり、側鎖の結晶性は著しく減少した。現在、長鎖アルキル基とトリアジン環との間にスペサ-を導入し、高いガラス転移温度を有するとともに側鎖の結晶性が良好な櫛状高分子の合成を検討している。
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