研究概要 |
本研究は,置換アセチレンと環状オレフィンとの共重合を試み,新規ポリマーの合成,生成ポリマーの持性と機能,重合触媒の開発などに関して知見を得ることを目的とするものである。以下に研究成果の要旨を述べる。 1.ノルボルネンとフェニルアセチレン類との共重合 ノルボルネンとフェニルアセチレンとの共重合(仕込み比1:1)において両モノマーは同時に消費された。この共重合の主生成物はメタノール不溶性のポリマーであり,GPC,2次元H-H COSY NMR,紫外可視スペクトルなどよりコポリマーであることを明らかにした。パラおよびメタ置換フェニルアセチレンとノルボルネンとの共重合ではランダムコポリマーが生成し,置換基の電子供与性が大である程フェニルアセチレンの反応性が増大した。オルト置換フェニルアセチレンとノルボルネンとの共重合では,ノルボルネン末端からアセチレンモノマーへの交差生長がやや困難となりブロック性のコポリマーが得られた。 2.フェニルアセチレンと種々のシクロオレフィンとの共重合 シクロオレフィンモノマーとしてデルタサイクレン,ベンゾノルボルナジエン,シクロペンテンなどを用いフェニルアセチレンとの共重合を検討した。コポリマーの生成を2次元NMRなどにより確認した。シクロオレフィンモノマーの反応性は,環のひずみ,立体障害,二重結合上の電子密度などによって説明できることを明らかにした。 3.共重合に有効な触媒の開発 1-クロロ-1-オクチン,1-クロロ-2-フェニルアセチレンなどの含塩素二置換アセチレンとノルボルネンとの共重合に対して種々の触媒を検討した結果,Mocl_5-nBu_4Suが特に有効であるこが分った。コポリマーの生成を確認し,モノマーの構造と反応性の関係を明らかにした。
|