研究概要 |
本研究は,極性官能基を持つ高分子鎖を枝とする新規多分岐高分子の合成方法の開発,およびこれらの多分岐高分子の機能を明らかにすることを目的とした. 1)両親媒性多分岐高分子の合成 直鎖状リビングポリマ-に少量のジビニル化合物を反応させると,直鎖状ポリマ-鎖同士がジビニル化合物のミクロゲルを介して多数結合し,可溶性の多分岐高分子が生成する.この方法に基づき,我々が見出したビニルエ-テルおよびスチレン誘導体のリビングカチオン重合を用いて,親水性と疎水性の両方の部分からなる種々の両親媒性多分岐高分子(1ー4)を合成する種々の方法を開発した.高分子1と2は技両親媒性のブロック鎖であり,3は親水性と疎水性の2種の独立した枝からなり,一方,4は枝は疎水性でミクロゲルの核に親水性基が導入されている. 2)両親媒性多分岐高分子による低分子の選択的捕捉能 両親媒性多分岐高分子1ー4は,いづれも安息香酸,アスピリンなど水素結合可能な極性基を持つ低分子有機化合物を選択的に捕捉するが,アルキルベンゼンなど際性基を持たない化合物は捕捉しないことを見出した.この低分子の選択的捕捉能は,対応する直鎖状高分子より大きく,また2種の低分子化合物の混合物においても,上記の極性基を持つ化合物のみを選択的に捕捉可能なことが明らかとなった.
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