研究概要 |
活性種修飾法による共役モノマーとエチレンのブロック共重合体の合成と特性解析に関する研究において以下のことを明らかにした。重合活性種修飾によるスチレンおよびイソプレンとエチレンのブロック共重合体の合成を非極性溶媒中で行った。このとき活性種を修飾する第三級ジアミンによりブロック効率ならびに引き続いて起こるエチレンの重合に影響を与えることが分かった。一連のN,N,N^',N^'-テトラメチルアルキルジアミンの中ではアルキル基がエチルであるN,N,N^',N^'-テトラメチルエチレンジアミンがスチレンおよびイソプレンとエチレンのいずれのブロック共重合においても活性を示すことが明かとなった。これらのジアミン以外にも1,2-ジピペリジノエタンも活性を示すことが分った。 ^<13>CNMRスペクトルなどにより、目的とするブロック共重合体が高収率で生成していることが明かとなった。また、エチレンを先に重合させ、メタクリル酸メチルとのブロック共重合体も合成した。このときは、エチレンの重合でポリマーが沈澱しブロック効率は低くなった。つぎに、このような活性種の修飾を用いた重合をイソプレンおよびエチレンの単独重合系にも拡張し共重合の結果と比較した。イソプレンの重合においては活性種修飾によりミクロ構造が変化し、修飾しないときにはシス-1,4構造に富むものが、修飾法を用いると94%までビニル構造よりなるポリマーが得られた。エチレンの重合においては,第三級ジアミンによる活性種の修飾でジアミンによる活性変化はブロック共重合の場合と同様な関係が得られた。また、イソプレンとエチレンのブロック共重合体の合成については、活性種の修飾をイソプレンの重合の前後で行うことによりイソプレン単位のミクロ構造が変化することを明かにした。一方、二官能性の開始剤の合成を行い、そのものが合成できることを確認された。今後このものを用いたトリブロック共重合体の合成へと展開したい。
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