研究概要 |
埋立造成地及び海岸林地の緑回復には,まず植栽林地の土壌改良が重要である。即ち林地土壌の理学性の改善が進み,植生の復元と生育に良好な影響を及ぼしている。 (1)林地土壌の理学性改善で効果的であったのは,有機系改良剤と無機系改良剤の混合投与が最も効果的で,次いで有機系改良剤の単独投与,無機系改良剤の順となった。施用量については,植栽地単位面積当り,1m×1m×20cmに対して約10〜15kgの投与で植栽後の供試樹がほゞ100%の活着を示し,植栽後も正常な生育を続けることが認められた。ただ無機系改良剤のみの場合には,海塩風などによる生育障害が生ずる場合がある。 (2)海底微細土壌(ヘドロ)に対する緑化手法としては,浚渫後可能な期間降水の湛水と排水を繰り返すことで,比較的簡単に除塩することが可能で,その後に植栽用土壌の客土が効果的であることがわかった。 (3)沿海自然林地の緑復元には,林地表土の理学性の改善と表土の安定能を高めることで林木種子の播種で緑の回復の可能性が高いことが明らかになった。 (4)沿海埋立造成地に植栽した樹木に対する,海塩の被害軽減については化学的処理,即ち樹葉に対してアスコルビン酸及び尿素液の散布が効果的であった。 (5)降雨の酸性度は,現時点では植栽樹木の生育に直接影響は見られなかった。 以上の様に,いずれの植栽地及び沿海林地においても,有機系,無機系改良剤を問わず供給することが植栽後の維持管理に効果的であった。
|