研究概要 |
1.ペラルゴニウムはデルフィニジン(Dp),シアニジン(Cy),ペチュニジン(Pt),ペラルゴニジン(Pg),ペオニジン(Pn)およびマルビジン(Mv)の6種類のアントシアニジンを含有する.花色は主にPgとMvの含有割合で決定され,花色の発現には,特にペラルゴニジンの関与が最も大きい. 2.そこで,栽培品種および種子系の雑種系統の色素分析をおこなったところ,アントシアニジン色素にはヒドロキシル化レベルの違いにおける優劣関係が認められず,Pg系,Mv系色素において独立して色素生成遺伝子を仮定することができた. 3.ペラルゴニジンに対する量的遺伝子はヘテロに持つと推測されることから,花色を安定させるためにはペラルゴニジンの色素生成遺伝子並びに色素の量的遺伝子のホモ化が必要である. 4.ペラルゴニウムの花弁はブロッチを持つ(上弁2枚だけに持つものと5枚の花弁すべてに存在するものとがある).ブロッチの発現はブロッチを発現する遺伝子とブロッチの色素量を決定する遺伝子との相互作用によりなるものと考えられ,5枚ブロッチは2枚ブロッチより優性であり,2枚ブロッチ同士の交配からは5枚ブロッチの個体は出現しないことが明らかとなった. 5.花弁の基部が白色となる花のほとんどは,花弁の裏面も白色か薄い色を呈する.花弁基部の白色化と花弁裏面の白色化とには強い連鎖関係があり,それらの遺伝子は有色化の遺伝子に対して優性と推定される. 6.マルビジンおよびペラルゴニジン構成品種のアントシアニン分析の結果,それぞれマルビジン3ー5ジグルコシドおよびペラルゴニジン3ー5ジグルコシドの存在が明らかとなった.今後は,有機酸の同定および未同定のアントシアニンの分析を進めていく予定である.
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