研究概要 |
ツツジ属は5亜属より成るが,そのうち4亜属;Hymenanthes(以下Hym),Rhododendron(以下Rhod),Pent-anthera(以下Pent)及びTsutsutsi(以下Tsut)の間で種々の亜属間交雑を,またRhod亜属Rhod節の種や品種間でも,種間交雑及びこれに準じる遠縁交雑を行った。 これらのなかでHym×Rhod(及びその逆交雑),Hym×Pent,Tsut×Pent及びRhod×Pentには親和性があり多くの朔がえられたが,Rhod×HymとRhod×Pentの種子は発芽しなかった。またPent×Hym,Pent×Rhod及びTsut×Rhodには親和性がなく,種子はえられなかった。当然予想されるようにRhod内での遠縁交雑は,亜属間交雑よりも成功度が高かったが,しかしHym,Pent及びTsut内での種間交雑に比べると劣っていた。これはRhod内での種間の遺伝的分化が進んでいるためと考えられた。得られた雑種のなかでHym×Rhod,Hym×Pentに基づく後代から優れた黄色園芸系がえられるものと予測されるが,Tsut×Pentの後代の大半は残念ながら葉緑素を欠いており,生育が悪かった。したがって,これについては,このような欠陥のない組合わせを探るべく,広範な検討が必要であろう。またRhod内の交雑でも優れた黄やブルーの誕生が予測されるが,後者についてはピンク系の細胞質の導入が旺盛な生育をもたらす点が注目された。 一方常法のコルヒチン処理による倍数体化を試みたが,鹿児島の夏は高温に過ぎ,処理植物が枯死するためうまくいかなかった。そこで組織培養中での倍化に切りかえることとし,その第一歩として多芽体の形成について検討した。その結果サイトカイニンの単独添加がよいことが判った。また予備的実験であるが,0.05%のコルセミドの3〜5日処理で倍数体らしきものがえられている。
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