研究概要 |
わが国には、キウイフルーツ近縁種のサルナシ、マタタビが各地に分布している。Actinidia属における種間雑種の育成を試みているが、組合せによっては胚の発育停止かみられ発芽力のある種子が得られない場合がある。そこで、本研究では、Actinidia属の種間交雑における未熟胚からの植物誘導を目的に子房切片培養を、また、親植物や雑種の判定の基礎としてパーオキシターゼアイソザイムの変異について検討した。 1.子房切片培養による植物誘導・・サルナシ(2n=58)×Matua及びサルナシ(2n=116)×サルナシ(2n=116)の交配組合せにおいては、培養切片からの種子の発育は、生長調節物質無添加区では培養後2週間目頃から白色状の種子が生長した。切片上で2〜3mmに生長した種子を各培地区へ移植した。サルナシ(2n=116)×サルナシ(2n=116)の交配組合せでは、Zeatin Img/1区においてShootが分化、発根もみられた。サルナシ(2=58)×Matua,サルナシ(2n=116)×サルナシ(2n=116)及びBruno X Matuaの各交配組合せでは種子の生長かみられるものの、植物誘 導までに至っていない。今後は、さらに植物誘導率向上のための各種培養条件、他の交配組合せにおける植物誘導について検討したい。 2.パオキシターゼアイソザイムの変異・・(1)キウイフルーツでは陽極に早く泳動したバンド域で、ヘイワード、ブルーノ及びマツアでは3本、ゴールデンキングでは4本認められた。陰極側でマツアでは3本のバンドかみられた。(2)サルナシでは陽極に早く泳動したバンド域では4本のバンドが認められた。(3)マタタビでは陽極側に早く泳動したバンド域では5本のバンドが認められた。(4)シマサルナシでは陽極側に早く泳動したバンド域では4本のバンドがみられた。これらから、陽極側に早く泳動したパンド域の比較によってActinidia属の種の判定の可能性が示唆された。今後は多くの種や種間雑種について検討したい。
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