研究課題/領域番号 |
03660052
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
蚕糸学
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部・生活科学学科, 助教授 (90014836)
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研究分担者 |
小林 正彦 東京大学, 農学部,農業生物学科, 教授 (60162020)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 光沢 / 微細構造 / ヤママユガ科 / 電子顕微鏡観察 / ボイド / ボイド形態 / 繭糸 / 画像解析 |
研究概要 |
本研究は、絹糸の光沢の発現が、繊維表面の屈折光に加え、繊維中への吸収光の内部反射の効果によるものと推測し、特に優れた光沢を呈する野蚕糸の微細構造の特徴とその光学的特性との関係について明らかにする事を目的とした。研究方法としては、まず、野蚕糸の構造的特徴の把握を目的としてヤママユガ科の天蚕、サクサン、タッサ-サン、スカシモンヤママユガ、エリサン、シンジュサン、ムガサン、クスサン、ウスタビガの9種とカイコガ科の家蚕とクワコ、およびオオミノガの計12種の繭の断面試料を透過型電子顕微鏡(TEM)と走査型電子顕微鏡(SEM)により観察を行った。その結果、ヤママユガ科の野蚕繭糸中には、家蚕やクワコ、オオミノガにはみられないマクロなボイドが存在することが観察された。ボイドの形状は一般に円形または繭糸の長軸方向に対して平行な楕円形であり、その数、大きさ等は種による差異があることが観察された。次に、これらのボイドの形態的特徴を詳細に検討するために、SEM写真の画像解析を行った結果、ボイドの形態は、数が多く、その総面積が繭糸に占める割合(ボイドの占有面積率)の高いタイプ、ボイド数、占有面積率共に小さいタイプ、ボイド数は少ないが占有面積率の高いタイプの3種に分類できることがわかった。ボイドの出現率および形態は、種による差異のみならず、同一種においても繭層位置、繭糸の含水率により差異がみられることから、ボイドの形態決定要因については遺伝的要因や環境的要因が推測された。現在ボイドの成因については、種による絹糸腺形状の点から検討中である。 また、光学的特性の把握については、ボイド形態が環境操作によりコントロ-ルが可能であることが見いだせた事から、同一種でボイド形態の異なる試料による光沢測定を計画中である。これにより、微妙な内部吸収光の反射特性の測定が可能となるものと推測する。
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