研究課題/領域番号 |
03660056
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
相薗 泰生 神戸大学, 農学部, 教授 (20089931)
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研究分担者 |
角田 素行 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50127164)
竹田 真木生 神戸大学, 農学部, 助手 (20171647)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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キーワード | 前胸腺刺激ホルモン(PTTH) / エクダイソン特異的モノクロ-ナル抗体 / エクダイソンのラジオイムノアッセイ / カイコ(5令期)体液中PTTH量の変動 / 脳複合器官におけるPTTHの分泌 / Ca^<2+>イオン依存性PTTH分泌 / アセチルコリンによるPTTHの分泌 / 天蚕脳内エピネフィリン |
研究概要 |
昆虫の脱皮・変態を調節制御する内分泌カスケ-ドに関連して、カイコの脳ー側心体ーアラタ体複合体における前胸腺刺激ホルモン(PTTH)の分泌機構の解明を試み、次のような成果を得た。(1)Ecdysoneに対するモノクロ-ナル抗体(Ka:1.3X10^<10>M^<-1>)を作製し、10〜300pgのecdysoneを測定できる高感度ラジオイムノアッセイ系を確立した。(2)ワンダリング当日の前胸腺は、PTTHに対する感受性が高く、自発的ecdysone分泌量も少なかったので、この時期の前胸腺を用いて、0.2〜10unitsのPTTHが測定可能なin vitroアッセイ系を確立した。(3)5令期における体液中PTTHの力価を測定することにより、5令初期(Day1〜2)、ワンダリングの3日前及び前日、ワンダリング後の2日間、ecdysteroid濃度が最高となる直前の5回にわたりPTTHが体液中に分泌されることを明らかにした。この実験結果に基づき、脳ー側心体ーアラタ体複合体におけるPTTHの分泌機構解明の実験は、自発的分泌が少なく内的刺激に応答する5令3日目の複合体を用いることにした。(4)Ca^<2+>イオン(4.5mM)存在下、高濃度のK^+イオン(60mM以上)により複合体からのPTTH分泌が誘起されることを見出した。また、この分泌は、4種の神経伝達物質によっても促進され、刺激から分泌までに要する時間は、アセチルコリン、ド-パミン、ダルタミン酸、セロトニンの順であった。これらの実験結果から、アセチルコリンが、「刺激ー分泌連関」において、神経分泌細胞を刺激することにより軸索末端に活動電位を生じさせ、Ca^<2+>イオンの流入とこれに次ぐPTTHの分泌を引き起こしているものと推定した。(5)天蚕における光周性依存休眠覚醒の前後で、脳内カテコ-ルアミンは著しい変動を示し、休眠蛹に存在していないエピネファリンが覚醒後に増大することを見出した。この増大と脳内PTTH分泌との関連性は興味深い今後の課題である。
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