研究概要 |
現行蚕品種の繭を当研究室設備の恵南産機K.K製SK-1型繰糸装置で繰糸して得られた無撚生糸を試料にして、本補助金による釜内の温度・圧力が設定可能なオートクレーブを用いて、普通練り(炭酸ナトリウム10%o.w.f.と非イオン性界面活性剤10%o.w.f.の混合溶液を用いて浴比1:100,95℃.120分)による練り減り率(約20%)とほぼ等しくなるような精練条件を求めた。その結果、非イオン性界面活性剤10%o.w.f.のみを添加し、1.0kgf/cm^2,120℃,30分で精練したものと、それに炭酸ナトリウム10%o.w.f.を加えて1.0kgf/cm^2,120℃,5分で精練したものの2種の練り減り率がほぼ等しくなることが判った。そこでこれらを試料にし、普通練りのものと比較検討することにした。 酸性染料C.I.Acid Orange7・分散染料C.I.Disperse Red19・直接染料C.I.Direct Red23を用い、平衡吸着量と初期における染色速度を当研究室設備の分光光度計に本補助金による冷却水循環装置を取り付け求めた。その結果、酸性染料の平衡吸着量は非イオン性界面活性剤のみによる精練絹糸が大きな値を示したが、逆に拡散係数Dの値やCt/C_∞-√t^^-の値は小さかった。次いで分散染料による平衡吸着量の結果は先の酸性染料と同じ傾向を示したが、差は小さなものであった。染色速度の結果は、中性浴からの吸着に比べ酸性浴からの吸着の方が大きかった。また拡散係数Dの値やCt/C_∞-√t^^-の値は、酸性染料の結果と同じ傾向を示した。直接染料の中性浴からの吸着は酸性浴からの吸着に比べ、非常に小さかった。また、酸性浴における平衡吸着量は、非イオン性界面活性剤に炭酸ナトリウムを加えて精練したものが一番大きな値になった。拡散係数Dの値やCt/C_∞-√t^^-の値は、非イオン性界面活性剤のみによる精練絹糸が一番大きな値となった。
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