研究概要 |
1、大麦のベタインアルデヒド脱水素酵素蛋白質の塩による誘導とストレス解除の効果:ベタインアルデヒド脱水素酵素の抗体を用いて,大麦に塩ストレスを与えると本酵素蛋白質のレベルが上昇し,塩ストレスを解除すると本酵素蛋白質のレベルが下降した。よってベタイン合成酵素の蛋白質レベルが浸透圧ストレスに応答して変動することを確認した。 2、塩感受性と耐塩性大麦のベタイン合成酵素の塩による誘導を調べた所,塩感受性大麦の方が応答が顕著であることが判明した。 3、塩感受性大麦よりPoly(A)^+RNAを精製し,cDNAを合成した。それをλZaPIIに導入し,cDNAライブラリ-を作製した。ベタインアルデヒド脱水素酵素に対する抗体を用いてスクリ-ニングを行い,ほぼ完全長のcDNA(1.9Kbp)を得た。この核酸の一次講造の決定を行ったところ,ベタインアルデヒド脱水素酵素の補酵素NAD^+の結合部位に特徴的なアミノ配列のあることが確認できた。最近ホウレンソウのベタインアルデヒド脱水素酵素のcDNAの一次構造の報告がアメリカのハンソンのグル-プによって報告されたが,それとアミノ酸配列のレベルで70%の相同性があった。我々は単子葉植物のベタイン合成酵素のcDNAのクロ-ニングを最初に行ったグル-プとなった。今後本酵素遺伝子をベタインを蓄積せず耐塩性の低いイネに導入し,耐塩性イネを創生することを試みる予定である。
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