研究概要 |
氷核細菌Frwinia ananasの氷核遺伝子inaAをpUC18のlacZプロモ-タ-下流にフレ-ムを合わせてライゲ-ションした発現プラスミドを構築し、これを大腸菌YA2L株に導入して、xーbroth中で37℃、18時間振とう培養した。培養液を、遠心(2500rpm,5分)して集菌した後、IPIG(isopropylーβーDーthiogalactopyranoside)を含むM9培地を加え、37℃、1.5時間発現誘導を行った。この状態の菌体を電子顕微鏡による観察に供したところ、菌体的において氷核蛋白質の封入体が観察された。次に、菌体を超音波処理した後、遠心(2500rpm,10分)することにより封入体を沈澱画分とした得た。しかしながらこの画分には、大腸菌由来の蛋白質も混入しているので、lMNaCl存在下で、2%TritonXー100および2%NonidetPー40などの可溶化剤で菌体由来の蛋白質を洗い流した。その結果、最終的に予想される分子量130K(氷核蛋白質は1322個のアミノ酸からなる)のところに単一バンドが見られ、可溶化はされないものの均一な蛋白質として精製することができた。さらに、氷核蛋白質に対するポリクロ-ナル抗体を用いたウェスタン解析の結果、SDSーPAGEで見られる精製蛋白質のバンドの位置のところに、クロスするバンドが検出され、これが氷核蛋白質であることを確認した。精製した蛋白質が氷核蛋白質であるかどうかを化学的に確認するために、アミノ酸分析を行った。その結果分析値は、氷核遺伝子から推定されるアミノ酸の組成と近い値を示した。次いで、この蛋白質のN端分析を行ったところ、予想されるシ-クエンスと一致した。また、今回精製した蛋白質の氷核活性を測定したところ、-5℃の恒温槽中で、2mlの水を凍結させるのに、2.1×10^<-2>μgあれば十分であることがわかった。
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