研究課題/領域番号 |
03660112
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・発酵学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 光 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (80026541)
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研究分担者 |
井上 善晴 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (70203263)
村田 幸作 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (90142299)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | グルタチオンペルオキシダ-ゼ / 脂質過酸化物 / Hansenula mrakii / 活性酸素 |
研究概要 |
脂質過酸化物は管理不十分な食品中にしばしば発生し、食品の質の劣化を惹起する。また生体内においては、様々な生体成分に影響を与え、ガンなどの原因物質の可能性も指摘されている。本研究では、脂質過酸化物に対し耐性を示す酵母Hansenula mrakii IFO 0895株の耐性機構を解析し、本菌の活性酸素種からの生体防御機構について考察した。 H.mrakii IFO 0895株は、リノ-ル酸ヒドロペルオキシドやtertーブチルヒドロペルオキシドなどの脂質過酸化物存在下で培養すると、グルタチオンペルオキシダ-ゼ(GPx)を誘導する。本酵素の細胞内分布を調べるため、オルガネラをショ糖密度勾配で分離した。その結果、本酵素は原形質膜に結合して存在することを明らかにした。更に、ミトコンドリア、もしくはペルオキシソ-ムにも本酵素活性が検出された。そこで、原形質膜に結合したGPxをLubrol PXで可溶化し、DEAEーsepharose,Blue Sepharoseカラムクロマトにより精製した。精製酵素はSDSーPAGEで分子量28,000の単一バンドを与えた。本酵素の基質特異性を検討した結果、H_2O_2には全く作用しなかった。H_2O_2に作用しないことから、グルタチオンSートランスフェラ-ゼ(GST)の可能性も示唆されたが、1ークロロ2,4ージニトロベンゼンをはじめその他のGSTの基質にも全く作用しないことから、本酵素はGPxと考えられた。更に本酵素は種々の脂肪酸ヒドロペルオキシドにも作用するほか、膜リン脂質の主要構成成分であるホスファチジルコリンヒドロペルオキシドにもよく作用した。ホスファチジルコリンヒドロペルオキシドに作用するGPxとしてはF.UrsiniらによってホスホリピドヒドロペルオキシドGPxが報告されているが、それらは細胞質画分から精製されており、本酵素は膜画分から得られている点で、大きく異なっている。以上の結果から、H.mrakiiのGPxは膜結合型の新規なGPxであると結論された。
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