研究概要 |
基質特異性の高い酵素は、タンパク質の一次構造解析、食品工業へめ応用など多どの分野で使用され、利用価値の高い酵素のひとつである。現在まで多くの研究者によって、ユニークな性質を持っプロテアーゼ生産菌が探索されてきたが、既存のプロチアーゼ活性が強くかつ基質特異性も低いために、目的とする特異性の高いプロテアーゼの発見には多くの人手と時間を要した。そこで。研究代表者らはSS工、MAPI,SMPI等で既存のプロテアーゼ活性を除去し、蛍光基質法や酸化インスリンB鎖を基質に用いたHPLC法を組合せ、短期間に新規プロテアーゼ生産苗の探索を行った。現在までに、以下に述べる数種の特異性の高いプロテアーゼ生産苗の分離に成功した。(1)Penicillium sp.FG-1株の生産するセミアルカリプロテアーゼは。分子童3.2万、等電点9.4作用最適pH8.0で。酸化インスリンB鎖のLeu(15)-Tyr(16)のみを水解する基質特異性の高いセリンプロテアーゼであった。(2)Alcaligenes sp.KU-22株の生産するプロリルエンドペプチダーゼは、分子量7.6万、等電点4.9,作用最適pH8.0で、Pro-X結合を水解するセリン酵素であり、動物由来のそれと類似した性質を示した。(3)Stre-ptomyces xanthophaeus HA-36株の生産するプロリルエンドペプチダーゼは、分子量4,7万、等電点4,8,作用最適pH7.0で、Pro-X結合を水解するセリン酵素であり、弱いながらカゼインも分解することから、微生物由来の酵素とは明らかに性質が異なっていた。(4)放線菌の生産するセリンプロテアーゼは。Suc-(Ala)_3-pNAを基質に発見したエラスターゼ様酵素であり。分子量2,6万、等電点6,4,作用最適pHが9.0で、弱いながらカゼインも分解した。今後は、これら酵素を用いたタンパク質の限定分解やペプチド合成等への用途を探索すると共に、さらに新しい基質特異性を持ったプロテアーゼの探索を行いたいと考えている。
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