研究概要 |
十勝岳の噴火にともなう泥流(1926年発生)の流下跡に成立している再生林を対象に林分構造と齢構造の解析を行い、その成立パターンを検討した。 研究対象地は富良野川及び美瑛川流域の上流部で、抽出した調査林分は38である。主な検討項目は林分構造、齢構造と地表面土壌の粒径分布である。 大規模な地表変動を伴う攪乱としての泥流は,洗掘・削剥・堆積などの運動を通して地形と土地条件の変異にとんだ広大な裸地を出現させた。再生林は種子による侵入によるものが中心であったが,キハダ・ハンノキなどでは泥流の運動とも関連して栄養繁殖による再生も重要な意味をもったと考えた。 再生林の主要構成樹木はカンバ類,エゾマツ・トドマツ,アカエゾマツであった。これらによる再生林は,構成種・階層構造・発達の程度・侵入の時期と順序などで多様な変異を示し,構造の異なる小規模な林分が流路方向に長いモザイク状に配列していた。地表土壌の流径分布解析の結果から、これら再生林の構造決定には侵入と成長に関する立地要求度の種間差異が重要な意味を持っていたと考えられた。以上から本研究では、再生林の構造の変異は、攪乱の質すなわち泥流運動に起因する立地条件の変異を反映したものと結論した。
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