研究概要 |
pH電極,フロ-セル,ペリスタポンプ,記録計から構成される魚介類の筋肉類衝能連続計測用pHセンサシステムを試作し,その最適条件を次のように設定した。pH:7.0,試料液移送流速:1.4ml/min,試料液量:50μl,最適条件下,0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)をフロ-セルに移送し,センサの出力が定常になったところで,試料である筋肉水抽出液(試料魚介類の筋肉に4倍量の蒸留水を加え,2000γpmで10分間ホモジナイズ後の口過液)を注入口より注入したところ,出力に変化が現われるまで約10秒,最大の出力電位差を示すまで約30秒を要し,一検体の分析に約2分の時間を要した。なお,本センサシステムでは出力の最大変化量をもってその試料液の緩衝能とした。 本センサを用いて,帆立,アワビ,イワシ,マグロ,サバ,カレイ,ハマチ,カツオ,アジの筋肉緩衝能を測定したところ,従来法によるそれとの間に良い直線的相関が得られた。この時の相関係数は帆立およびアワビでそれぞれ0.91および0.88であった。また,イワシ,マグロ,サバ,カレイ,ハマチ,カツオ,アジのそれはそれぞれ,0.94,0.91,0.81,0.98,0.86,0.99および0.98であった。一方,本センサ法による測定値とK値間および緩衝能の強さとK値間にも直線的相関性が得られた。この時の相関係数は前者で0.97〜0.83,後者で0.97〜0.85であった。 以上の結果より,本法による迅速,簡単かつ連続的な魚肉鮮度計測の可能性が示唆された。
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