研究概要 |
本研究は,不飽和土の強度特性に与えるサクションの影響を実験的に調べようとするものである。 試料には,岡山市に産するまさ土の2mmふるい通過分を用いた。0.074〜2mmの砂分の含有率は90.1%であった。実験には,三笠式改良型一面せん断試験機を用いた。下部加圧板にはポーラスストーンの替わりにセラミックスディスクを埋め込み,サクションを制御できるように改良した。供試体は試験機のせん断箱内で垂直応力を載荷することによる静的締固めにより準備し,pF試験における吸引法を適用してサクションを制御した排気・排水一面せん断試験を行った。せん断過程は応力制御方式で行い,せん断応力増分の載荷は10〜20段階に分けて行った。垂直応力は1.0,2.0,3.0kgf/cm^2の3段階とした。また,サクション(Su)はSu=0,0.1,0.2,0.4,0.6,0.8kgf/cm^2の6段階を設定した。 せん断試験結果によれば,サクションの増加により,Su=0kgf/cm^2の飽和供試体より強度が増加していることが分かった。しかし,垂直応力の大きさに関わらず,Su=0.4kgf/cm^2以上になるとせん断強度の増加がほとんど認められないことが明らかとなった。これらの傾向は,正規圧縮,過圧縮を問わずにほぼ同じ傾向であることが分かった。 また,同じ大きさの球がランダムに詰まっている集合体を想定して2球間に働く粒子間結合力を理論的に計算し,サクションと単位面積あたりの粒子間結合力の関係を求めて実験結果と比較し考察した。その結果,まさ土の実験から得られたサクションとせん断強度の関係の傾向は,粒径の粗い粒状体についての理論から得られた傾向と一致した。
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