研究概要 |
1.施設内無農薬化の一対策として,養液栽培での養液内病原菌に対するオゾンの殺菌効果とキウリ植物体のオゾン耐性につき検討した。キウリFusarium菌(つる割れ病菌)の内生胞子を種々のオゾン水濃度と種々の期間浸漬処理したところ,初期オゾン濃度0.4〜0.15mg/lでは殺菌効果はあるが,0.1mg/lでは無効であった。処理時間の影響は,どの試験区間にも有意差はなかった。これらを電顕で観察し検証した。水耕キウリの根の一時的オゾン水浸漬で,0.3〜0.2mg/l区は生育障害を起し,0.1mg/lでは障害はないが生育は劣った。以上はシャ-レ当りコロニ-数が100個の場合であるが,1万個と高濃度になると4mg/lで完全に死滅させ得る。 2.内生胞子よりも細胞膜が厚い厚膜胞子に対するオゾン水の殺菌効果については,1万個のコロニ-に対して,0.4〜0.6mg/lで無処理区に対し有意差があり、0.6mg/lで完全に死滅させ得る。 3.トマト葉かび病菌(空気伝染性)の分生胞子に対するオゾン水噴霧による殺菌効果については,0.2mg/l以上で殺菌効果があり,0.5mg/lで死滅させ得た。オゾン水噴霧時の植物体に対するオゾン耐性については,2.0mg/l以下の噴霧では,トマトの場合は,茎葉表面に細毛があり,はつ水性を示すため全く影響を与えない。従って,オゾン水噴霧防除は,すでに細胞内に浸入し感染した場合は殺菌因難であるが,病気の予防や蔓延の防止には有効と考えられる。 4.養液栽培では藻類繁茂が問題となっており,オゾン水による防除効果と,養液成分・イオンの変性についても目下実験中ないしデ-タ整理中である。今後は液中での強電界処理やストリ-マ放電処理による殺菌効果と養液の変性の有無などの研究を続行する予定である。
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