研究概要 |
鶏の主要組織適合抗原(MHC)はB座位の3つの亜領域、即ちBーF,BーL,BーGの各遺伝子によって支配されている。これらの抗原は免疫抗血清を用いた凝集反応、蛍光抗体法、cytoーtoxic testなどによって同定されていたが、抗血清の吸収の困難性や組み換え個体が得られにくいなどの理由によりBーG領域以外は胎ど同定されていない。BーG領域についても、集団の遺伝的背景が異なる場合には遺伝子型の判定が困難な場合が多い。 一方、鶏のMHCを支配する遺伝子のcDNAをプロ-ブとして用いる制限酵素切断長多型(RFLP)によるB座位の遺伝子の同定が試みられている。今回の研究では、B座位がホモに固定されている種々の系統を用いて血清学的判定とRFLP分析による判定を比較し、RFLPパタ-ンによりB座位の遺伝子型を判定できるような標準パタ-ンの作成を試み、以下の結果が得られた。 1 B^9ホモ(2系統10羽)、B^<11>ホモ(2系統10羽)、B^<12>ホモ(1系統5羽)、B^<15>ホモ(4系統20羽)、B^<19>ホモ(1系統5羽)、B^<21>ホモ(4系統20羽)、B^<31>ホモ(2系統10羽)、合計16系統80羽の試料について、当研究室で作成した抗血清を用いて血液型を判定した結果、すべての個体がホモであることが血清学的に確認できた(岡田担当)。 2 上記の試料について、BーG領域のプロ-ブを用いてRFLP分析を行なった結果、HaeIII,PstI,PvuIIの3つの制限酵素を用いる事によりすべての個体のRFLP型を判定でき、更に、系統が異なる場合にも血清学的に同一型を示す個体は同じパタ-ンを示すことが明らかとなった(山本担当)。 3 以上の結果から、RFLP分析によりBーG領域の遺伝子型を判定することが可能となった。ただし、複雑なハプロタイプをもつ集団については更に別の制限酵素について検討する必要があると思われる。
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