研究課題/領域番号 |
03660293
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
畜産化学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大谷 元 信州大学, 農学部, 教授 (30109201)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 鶏卵 / 卵黄抗体 / IgY / 化学修飾 / ポリエチレングリコ-ル / 免疫原性 / プロテア-ゼ / 消化性 |
研究概要 |
産卵鶏にホルマリン処理をしたサルモネラ菌を免疫し、卵中に生産された抗サルモネラ卵黄抗体(IgY)を分離した。そのIgYをポリエチレングリコ-ル(PEG)で修飾することにより、PEG修飾IgYを作製した。PEG修飾IgYの残存抗体活性は用いたPEGにより大きく異なり、低分子よりも高分子PEGを用いる方がよいことが明らかになった。特に分子量2万のPEGを用いることにより修飾率69.0%、残存抗体活性98.9%のPEG修飾IgYの調製に成功した。得られた修飾抗体を、BALB/C系マウスに注射し、その時のマウス血清中のマウス抗鶏IgY抗体価を酵素免疫測定法により調べたところ、マウス抗鶏IgY抗体の産生は修飾により、未修飾抗体投与の場合のおよそ1/10となり、1%の危険率で有意差があった。また、同血清中のアナフィラキシ-性抗体価をモルモットによる受身皮膚アナフィラキシ-反応で調べたところ、アナフィラキシ-性抗体の産生は修飾により、未修飾の場合のおよそ半分となり、5%の危険率で有意差があった。一方、PEG修飾IgYのペプシン、トリプシンおよびプラスミンによる60分消化後の残存抗体活性を調べた結果、ペプシン消化では、修飾により若干の抵抗性の向上が見られたものの、その抗体活性の大部分が失われていた。しかし、トリプシン消化とプラスミン消化では、修飾抗体の抗体活性が高く残存しており、修飾によりトリプシン分解とプラスミン分解に対する抵抗性の向上が見られた。以上の結果から、IgYへのPEG修飾により、マウスとモルモットを用いた動物実験においてアレルゲン性が低下し、かつ、トリプシンとプラスミンに対する消化抵抗性を付加したIgYが作製できた。このことからPEG修飾により鶏IgYの利用に際して問題となる2つの機能を改善できることが明らかになった。
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