研究概要 |
野外で流行しているネココロナウイルス感染の識別と中和活性を保有するMAbのネコ培養マクロファ-ジでの感染増強作用の有無を調べた。 ネココロナウイルス感染の識別はTypeIのネコ伝染性腹膜炎ウイルス(F1PV)には反応しないMAbを用いた競合ELISA法およびHPV TypeII79ー1146株を攻撃ウイルスとした中和試験により実施した。競合ELISAの特異性は、TypeIおよびTypeIIのFIPVを実験感染して得た血清を用いて調べた。合計1079例の血清についてFIPD抗体の有無をIFAで調べた結果、237血清が抗体陽性であった。これら237血清のうちFIP京症ネコで42例中13例(31%)が80%以上のELISA阻止率を示し、病院外来ネコでは125例中14例(10.1%)が同様の阻止率を示した。これらの血清では中和抗体価も高い値を示した。しかし、IFA抗体陽性健康ネコ57例では、すべてが30%以下の阻止率を示し、中IFA抗体陽性健康ネコ57例では、すべてが30%以下の阻止率を示し、中和抗体価も10倍以下であった。IFA陽性で、走合ELISAと中和試験陰性の血清をTypeIのFIPV感染と考えると、発症ネコでは約3割がTypeIIの感染と考えられた。しかし、抗体陽性の健康ネコでは明らかにその率は低下したいた。すなわち、FIPV TypeIIのウイルス感染は発症率が高いことを示唆すルものと思われた。 ネコ株化細胞でFIPV79ー1146株に対して中和活性を示すMAbのネコ培養マクロファ-ジでの中和活性を調べた。異なるエピト-プを認識するMAb(no.5ー6ー2,7ー4ー1,6ー4ー2)のうち、5ー6ー2はマクロファ-ジでも株化細胞と同様に中和作用しか示さなかった。しかし、No.6ー4ー2,7ー4ー1のMAbは反応の程度により中和反応と感染増強作用のまったく逆の反応性を示した。すなわち、原液ではウイルスの増殖を完全に阻止したが、1:10希釈で逆にウイルスの感染を増強した。さらに原液のMAbでも反応直後では感染が増強された。これらのMAbsの認識するエピト-プの位置と感染増強作用の強さには関連性が認められた。
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