研究概要 |
アミンニューロンが″状態依存性活動″をほぼ一斉に行っている機構の中に,アミン-アミン性回路の依在が指摘される。このアミン性回路に関して,青斑核ノルアドレナリンニューロンを用い,成熟脳のみならず発達段階の脳について検討した。 1)ドーパミン性入力は視床下部A13ニューロン群に由来する。2)ノルアドレナリン性入力は延髄A1,2ニューロン群に由来する。3)アドレナリン性入力は延髄C1ニューロンに由来する。4)セロトニン性入力は中脳,橋から由来する。5)アドレナリン終末はノルアドレナリンニューロンと大型の非対称シナプスを作る。6)ドーパミン終末はノルアドレナリンニューロンと非対称シナプスを,非アミンニューロンと対称シナプスを作る。 以上の結果を総合すると,青斑核ノルアドレナリンニューロンの活動は,自律神経性の活動情報が上位よりはドーパミン性入力を経て,下位よりはアドレナリン性入力を経てもたらされることによって,強い調節を受けていると考えられる。これらアミン性回路は青斑核に特異的であり,その他の部位に存在するアミンニューロンに対する回路とは異なることが示唆された。 一方,発達段階脳についてはセロトニン終末の一過性集積を中心に検討した。その結果,幼弱セロトニンニューロンには,発達中の知覚領野皮質に知覚入力と連動して濃密な一過性終末を作り,知覚受容皮質細胞の分化が終ると投射をやめるものがある事が分かった。それは幼弱期皮質投射セロトニンニューロンの約40%を占めるがニューロンは決して消失しない。これら特殊な幼弱アミンニューロンへのアミン性入力についる目下検討している。
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