研究概要 |
1.GABAーB作働性神経による生理的ゴナドトロピン分泌動態の修飾:GABAーB受容体動働薬baclofenの脳室内投与は、エストロゲンにより誘起される排卵性黄体形成ホルモン(LH)分泌を用量依存性に抑制し、その効果は視床下部ゴナドトロピン放出神経機構への作用に基づくことを明らかにした(既報)。また、卵巣摘出ラットにおけるパルス状LH分泌に対しては、baclofenによりパルス頻度の低下とパルス振幅の増大を生じることを見出した(印刷中)。 2.GABAーB作働性及びノルアドレナリン(NA)作働性神経の機能的相互関係:従来GABA作働薬によるLH分泌抑制に伴い視床下部NA放出及び代謝回転率が低下すること等から、GABA作働性分泌抑制はNA神経終末におけるシナプス前抑制を介すると推測されていたことに反し、選択的GABAーA,B受容体作働薬によるNA誘起LH分泌の抑制等を見出し、両神経の機能的並列配置を示唆した(投稿中)。 3.GABAーB作働性及びNMDA作働性神経の機能的相互関係:NMDA受容体刺激によるLH放出はGABAーA受容体作働薬により抑制されるが、GABAーB受容体作働薬によりむしろ増強されることを見出した(投稿中)。 4.総括:以上の結果から、視床下部GABA神経はGABAーA,B両受容体を介して生理的ゴナドトロピン分泌動態の調節に関与することが明らかにされた。また,ゴナドトロピン分泌調節中枢において,ゴナドトロピン放出ホルモン(LHRH)産出ニュ-ロンはNMDA作働性分泌促進神経とGABAーA作働性分泌抑制神経からの入力を並列に受け、NMDA作働性神経はさらにNA作動性分泌促進神経とGABAーB作働性分泌抑制神経により並列に支配されていると仮定することにより、上記の結果が合理的に説明されると考えられた。
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