研究概要 |
本研究の目的は、意識下の犬を用い動脈圧調節系の求心生圧情報(頚動脈洞神経活動)および遠心性交感神経活動(腎交感神経活動)を同時記録し、模擬微小重力(頚下浸水)に対する神経性動脈圧調節機構の動的な修飾過程を定量化する事にある。 1方法 意識下の犬を用い頚下浸水時の頚動脈洞神経活動を測定し、血圧の変化に対し、1.頚動脈圧一頚動脈洞神経活動2.頚動脈圧一賢交感神経活動の関係を頚下浸水前、中、後に測定する。1,2の関係はシグモイドカーブにフィッテイングし、1)ゲイン、2)中心圧などのパラメータを算出する。 結果考察 頚動脈圧一腎交感神経活動の関係は、頚下浸水により、ゲインが4.57±O.62から 7.62±0.30(1/mmHg,67%)に増加し、中心圧が102.8±7.0から85.4±7.0(mmHg)に17mmHgに低下した。これは、圧受容器反射が頚下浸水により急性に修飾されていることを示す。圧受容器の特性を示す、頚動脈圧一頚動脈洞神経活動の関係については頚下浸水による変化はゲインが-4.68±O.43から-5.5O±O.44(1mHg)変化であり、また中心圧も頚下浸水により変化なかった。以上より、圧受容器反射は模擬微小重力環境に急性に適応し修飾を受けている点。そして圧受容器そのものの特性の変化はなく、中枢性に修飾を受けている点が明らかになった。 また上記の研究の中で中枢性に圧受容器反射を修飾している可能性として、心臓肺圧受容器の中枢への関与が考えられた。そこで、バルーンを用いて左心房の圧受容器を選択的に刺激し、腎交感神経活動にたいする心臓肺圧受容器入力の因果関係を検討した。結果、心臓肺圧受容器は腎交感神経活動に対し持続的かつ刺激に対し定量的に抑制を及ぼしていることが明らかになった。
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