研究概要 |
ガストリン リリ-ジング ペプチド(GRP)の膵外分泌への影響を調べその作用様式を解明し,急性膵炎発症への関与を明らかにしようとした。ペントバルビタ-ルで麻酔した大の上腹部を歪中切開し,主膵管にカニュ-レを挿入流出する膵外分泌量を計測した。膵臓は他の生体臓器から独立させ大腿動脈より導びいたヘパリン化血液にて潅流した。GRPを0.1ー3nmol/kg膵十二指腸動脈に動注しても膵外分泌には何らの作用を起さなかった。GRP0.3ー3nmol/kgを大腿静脈内に静注した場合,用量依存的に膵外分泌の増加を起した。GRPにより流出する膵液は,蛋白質に富み,重炭酸濃度には影響を及ぼさなかった。この反応はコレシストキニン(CCK)の作用と類似していたが,セクレチンやガストリンの反応とは異なっていた。Lー364,718(選択的なCCK拮抗薬)とDーArg^1DーPro^2,DーTrp^<7.9>,Leu^<11>ーsubstance P(GRP拮抗薬),アトロピンはGRPによる反応を抑制したが,フェント-ルアミン,プロプラノロ-ル,SCH23390(Dー1拮抗薬),シメチジンなどの拮抗薬に対しGRPの作用は影響を受けなかった。血清中のCCK濃度をRIA法にて測定すると,刺激前は6.1±4.2pmol/mlであったのがGRP3nmol/kg静注1分後には,2.1倍,3分後には3.1倍と有意に増加したが,15分後にはコントロ-ル値にもどっていた。以上の結果より,GRPは犬膵外分泌刺激作用を有しており,その作用は間接的であり少なくとも一部は内因性のCCKを遊離することにより発現していることが示唆された。GRPの分泌細胞内カルシウムへの影響については,現在Furaー2を使用して実験中でありまだ結果を得ていない。
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