研究課題/領域番号 |
03670106
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
北村 憲司 九州大学, 医学部, 講師 (30112345)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 受容体 / イオンチャネル / G蛋白 / 電位依存性Caチャネル / プロテインキナ-ゼC / H3受容体 |
研究概要 |
ウサギ伏在動脈においてヒスタミン(His)、ノルアドレナリン(NAd)及びアンジオテンシンは共に電位依存性Ca電流(I_<Ca>)を増強した。これら作動薬のI_<Ca>増強作用は細胞内にGTPを投与すると著明になりGTPβS投与により消失した。GTPγS存在下ではI_<Ca>は逆に抑制された。一方ATPは伏在動脈や門脈の電位依存性Ca電流を抑制し、このATPの抑制作用もGTPβS投与により消失し、GTPγS存在下では著明となった。このことから作動薬のI_<Ca>増強作用にはGTPの水解が重要な役割を担っていることが考えられた。百日咳毒素(PTX)はこれら作動薬の伏在動脈におけるI_<Ca>増強作用に何ら効果がなかったが、門脈で見られたATPによる抑制効果を減弱させた。以上のことから上記三種の血管作動薬はPTX非感受性G蛋白を介して、またATPはPTX感受性G蛋白を介して電位依存性Caチャネルを調節していることがわかった。これらの作用はHisはH3受容体を、NAdはα1受容体を、ATPはP2y受容体を介したものであった。そこでG蛋白が直接電位依存性Caチャネルを調節しているのか、それとも既知の細胞内二次伝達物質を介しているのかを検証した。細胞内に投与したcAMPやイノシト-ル三燐酸はI_<Ca>に対して全く作用を示さなかったが、PDBuはI_<Ca>を増強した。しかしHisによる増強効果とPDBuによる増強効果は相加的であり、またHー7はHisのI_<Ca>増強作用に効果がなかったので両者の効果は同一の機序によらないと結論した。この結論はHisの作用がH1受容体の活性化によらないという結果とも一致した。 以上の結果から血管平滑筋細胞において種々の作動薬は電位依存性Caチャネルを活性化させるが、既存の細胞内二次伝達物質は関与せずまたG蛋白そのもののCaチャネルへの結合にも拠らないと考えられた。更にこれらの血管平滑筋細胞には受容体によるG蛋白を介したCaチャネル抑制機構も別に存在していることが判明した。
|