研究概要 |
日本住血吸虫のfs800遺伝子をクローニングするためにマンソン住血吸虫のfs800cDNAをプローブとして用い、日本住血吸虫のcDNAライブラリーとgenomicライブラリーのそれぞれ2万個,5万個のプラークをスクリーニングをしたが、陽性のプラーグは得られなかった。これは両種のfs800遺伝子のホモロジーが低く、ハイブリダイズできなかったものと思われる。しかし、マンソン住血吸虫のgenomicライブラリーを同一プローブでスクリーニングしたところ2個の陽性プラークを得ることに成功した。このプラークから得たDNAを精製し、EcoRIで消化してサザンブロットハイブリダイゼーション解析をおこなったところ、5.5Kbpフラグメントがプローブとハイブリダイズすることがわかった。そこでこのフラグメントをSalIで消化とfs800遺伝子を含むSalI-EcoRIフラグメントをプラスミッドベクターpGEM(-)にサブクローニングしシーケンス解析を行なった。その結果まずイントロンはcDNAの塩基配列と比較した結果、ないことがわかった。またprimer extentionの方法を用いてmRNAの5′末端を調べたところ、cap siteの配列はCATAAであった。また5′上流のregulatory部域には、TATAbox及びCAAAT配列、さらに上流にTCACGTというDrosophila及びカイコのchoriongeneにおいて重要な調節的役割を果しているが知られている配列も見出された。このように、マンソン住血吸虫のfs800geneはショウジョウバエやカイコにおけるregulatory部位の遺伝子構造に類似し、同様の遺伝子制御機構により調節を受けているものと推察された。さらにすでに知られている2つの雌性特異的発現遺伝子p14,p48にも同じ配列が、同様のサイトで見出されており、これらの虫卵卵殻タンパク質遺伝子及び関連遺伝子は、同調的発現調節を受けているものと考えられた。
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