研究概要 |
犬糸状虫(D.immitis)好中球遊走因子(DiーNCF)に対する好中球表面上のNCFリセプタ-の解析を好中球遊走活性のcross deactivation assayにより行なった。DIーNCFをコ-ドするcDNAの塩基配列から推定されるアミノ酸配列の99ー101番目(MetーPheーLys)は既に知られている好中球遊走性ペプチドfMetーPhe,fMetーLeuーPheーLysと似た配列であることからこの部分がエピト-プになっていることを確認するために、MetーPheーLys,fMetーPheーLysの配列のペプチドを固相法により合成した。fMetーPheーLysは逆相カラムを用いた高速液クロにより精製した。指示細胞はマウス好中球を用いマイクロケモタキシスチェンバ-により好中球遊走活性の測定を行った。MetーPheーLys,fMetーPheーLysはピ-クの活性は低いもののfMetーPhe、fMetーLeuーPheーLysより低濃度でも好中球遊走活性を示した。また好中球をMetーPheーLys,fMetーPheーLysとプレインキュベ-トすることによりDiーNCFに対する遊走活性をほぼ完全に消失した。一方fMetーLeuーPheーLysとのプレインキュベ-ションではDiーNCFに対する遊走活性にほとんど変化が見られなかった。これに対しfMetーLeuーPheーLysに対する遊走活性は、MetーPheーLys,fMetーPheーLysとのプレインキュベ-ションでは遊走活性に全く変化が見られなかったがfMetーLeuーPheーLysとのプレインキュベ-ションでは遊走活性をほぼ完全に消失した。これらのことからMetーPheーLysの部分がDiーNCFの好中球遊走活性のエピト-プであり、fMetーLeuーPheーLysとは異なったリセプタ-を用いていると考えられた。
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