研究概要 |
日和見感染症の原因菌である緑膿菌は、多くの薬剤に耐性である。その耐性に外膜のポ-リン(チャンネル蛋白)が大きく関与する事が示されている。緑膿菌のポ-リンの中で、protein D2はイミペネム(βーラクタム剤)に特異的なチャンネルであると報告されている。そこでprotein D2の機能と構造を明らかにする目的で研究を行い、protein D2チャンネル蛋白のドメイン構造による孔開閉機能に関する新知見を得た。 1)トリプシンで本蛋白を限定分解すると、27Kと19Kの二つのフラグメントが得られた。これが本蛋白のドメインに対応する。19Kドメインは更に二つのサブドメインに分解された。 2)本蛋白をリポソ-ム膜に再構成し、限定分解した後、その透過活性の変化をリポソ-ム膨張法を用いて調べた。分解が進むにつれてその活性は増大し、最終的に約10倍の活性化がみられた。19Kドメインがサブドメインに分解される時に活性化が生じた。限定分解による孔径の変化は認められなかった。 3)本蛋白のドメインのトポロジ-を決めるために、protein D2,27k,19kドメインのN末端アミノ酸配列を決定した。19Kドメインがprotein D2と同じ配列を示した。この事から19K及び27KドメインはそれぞれN末端ドメイン及びC末端ドメインである事が解った。 4)本蛋白をトリプシン分解した後、27Kドメインを精製し、その透過活性を調べた。その結果、このドメインに透過活性が認められ、その孔径はprotein D2と変わらなかったが、活性は約8倍上昇していた。 以上の結果より、protein D2は孔形成ドメイン(27Kドメイン;C末端ドメイン)と、孔の開閉を行うドメイン(19Kドメイン;N末端ドメイン)からなり、19Kドメインの分解によりゲ-トが壊され、活性化を起こるものと考えられる。
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