研究課題/領域番号 |
03670240
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
小島 朝人 国立予防衛生研究所, 感染病理部, 室長 (30100077)
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研究分担者 |
佐多 徹太郎 国立予防衛生研究所, エイズ研究センター, 室長 (00162397)
倉田 毅 国立予防衛生研究所, 感染病理部, 部長 (50012779)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 組換えワクシニアウイルス / 病原性 / ウイルス感染病理 / 安全性 / サル / Monkey |
研究概要 |
欧米諸国においてはすでに、AIDSワクチン試験として健常人あるいはHIV-1感染者に組換えワクシニアウイルスが接種されているが、その安全性に関する検討はほとんどなされていない。そこで本課題においては、実験小・中動物(マウス、モルモット、ウサギ)への接種実験とinvitro弱毒マーカー試験、およびその成績をもとにサルを用いた組換えワクシニアウイルスの安全性試験を実施した。その結果、実験動物において、(1)皮内あるいは皮下接種による皮膚反応の強弱は接種ウイルスの神経病原性やinvitro弱毒マーカーの強弱と極めて良く一致し、(2)弱毒株組換えウイルスの増殖・分布は接種局所に限局され、局所から脾臓・肝臓・脳へのウイルス侵入は認められず、(3)腹腔内・静脈内から全身性に接種した場合にも、組換えウイルスが脾臓・肝臓に少量検出された1例を認めたものの、脳内には全例とも陰性であった。 これらの成績に基づいて、ワクチン安全性試験用カニクイザルへの接種実験を行なった。その結果、皮下接種・静脈内接種・脳内接種群のいずれもが手足の痳痺等の臨床症状を示さず、皮下あるいは静脈接種群の脳内には組換えウイルスの抗原・遺伝子とも検出されなかった。一方、脳内に直接組換えウイルスを接種したサルの脳病変としては、蜘蛛膜下腔に単核細胞を主体とした瀰漫性の細胞浸潤、脳皮質小血管周囲に軽度の細胞浸潤を認めただけで、脳実質の変性は観察されなかった。また、細胞浸潤部位に限局して組換えウイルスの抗原と遺伝子が検出された。しかし、組換えウイルスの脳全域あるいは全身への拡散・分布は認められなかった。 以上の結果は、弱毒株に由来する組換えワクシニアウイルスは親ウイルス株の低い病原性を保持しており、組換えワクチンとしての安全性は高いことを示唆している。
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