研究課題/領域番号 |
03670245
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲葉 カヨ 京都大学, 理学部, 助手 (00115792)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1991年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 樹状細胞 / 免疫寛容 / T細胞増殖 / リンパ節 / 脾臓 |
研究概要 |
免疫寛容原として、ヒト血清ガンマグロブリン(HGG)あるいはウシ血清アルブミン(BSA)を用い、それらを尾静脈より投与して成体マウスのT細胞増殖応答ならびに抗体産生応答を調べたところ、投与抗原量の増加に伴い、特異的免疫寛容が誘導された。しかも、免疫寛容は、寛容原投与後短時間で誘導されることが示された。なお、このような不応答性状態は、抑制性T細胞によるものでないことも確認した。またさらに、T細胞の抗原特異的増殖応答を指標にしたin vitro実験系において、免疫不応答状態は、ILー2や樹状細胞の添加によって回復されないこともあきらかになった。では、免疫寛容が誘導される際に、樹状細胞は寛容原を提示しているのかどうか。この点を明らかにするため、免疫寛容原を摂取したマウスから樹状細胞を調製し、その抗原特異的T細胞の活性化能を検討したところ、その細胞表面にはT細胞活性化に十分の抗原が提示されていることが明かになった。しかも、免疫原を摂取したマウスからの樹状細胞に比べても、大きな機能の低下は検出されなかった。また、抗原投与後初期のマウス脾臓より低密度細胞を調製し、正常マウスに摂取してみたところ、T細胞増殖応答ならびに抗体産生応答の増強が認められた。低密度細胞集団には、樹状細胞を初め、B芽球細胞、マクロファ-ジなどが含まれているため、それぞれ個別に調製した精製細胞集団に、in vitroで抗原をパルスした後、マウスに摂取してみたが、樹状細胞を摂取した群では応答の増強が顕著であった。B細胞芽球でも、弱い応答が誘導されていたが、マクロファ-ジでは効果は検出されなかった。寛容原投与時あるいはその24時間前に樹状細胞を摂取しても、寛容の誘導を回避することはできなかった。以上の結果は、成体免疫寛容の誘導においては樹状細胞は積極的役割を果たしていないことを示唆している。
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