研究概要 |
ILー4によるIgE抗体産生にB細胞等が産生する可溶性Fc_εレセプタ-II(sFc_εRII)が関与している可能性が示唆されている。sFc_εRIIにはいくつかの分子量の異るもが存在するが,我々は29kDのリコンビナントsFc_εRIIを作製し,IgE抗体産生における機能を解析した。 まずFc_εRIIのC末端側204ケのアミノ酸をコ-ドする遺伝子をBaculoーvirus発現ベクタ-pAcYMー1に組み込み,昆虫細胞(Sfー9)に発現させることにより29kDのリコンビナントsFc_εRIIを得た。このリコンビナントsFc_εRIIは抗Fc_εRII抗体及びIgEと,天然型のsFc_εRIIと同程度の結合親和性を示した。得られた29kDのリコンビナントsFc_εRIIを,至適濃度あるいは低濃度のILー4存在下の末梢リンパ球によるIqE産生系に添加したところ,低濃度ILー4によるIqE産生のみが1U/ml前後のsFc_εRIIにより数倍から十数倍に増強された。しかし25kDのリコンビナントsFc_εRIIにはそのような活性を認めなかった。さらに末梢リンパ球よりB細胞分画を得,低濃度の抗CD40抗体とILー4によるIgE産生誘導系における活性を検討したところ,29kDリコンビナントsFc_εRIIはIgG産生には影響を与えることなくIgE産生を特異的に増強した。 以上の結果は,B細胞等の膜型Fc_εRIIより一過性に生成される29kDのsFc_εRIIは,B細胞に直接作用してILー4によるIgE産生を増強させることを示す。今後sFc_εRIIによるIgE産生増強機構をε鎖発現等遺伝子レベルから解析していく予定である。また29kD sFc_εRIIがB細胞の増殖や胸腺細胞の分化等に機能している可能性についても検討したい。
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