研究概要 |
1.抗原の作成:2,4,6ーTrinitrobenzen sulfonic acidを用いてTNP_<32>ーBSA(Bovine Serum Albumin)を作成し、ELISAとして1.0mg/mLの濃度にして使用した。 2.ヒト抗TNP抗体の精製:ヒト抗TNP抗体(IgG)を静注用ヒト免疫グロブリン製剤からSepharose 4Bカラムを使用して精製した。これを100μg/mLに調整して標準ヒト抗TNP抗体(IgG)とした(安定剤としてBSAを1.0mg/mLの濃度で使用)。保存は-80℃で行った。 3.ヒト血清の収集:40〜70才までの一般的な中高年層の人、すなわち男性47人(平均年齢60±10才)、女性49人(平均年齢59±10才)の血液を採取し、その血清を収集した。またストレスに関連があると考えられる仕事についてのアンケ-ト調査と一般的な血液検査を同時に行った。 4.ヒト血清中の抗TNP抗体の測定:酵素免疫測定法(ELISA)により血清中の抗TNP抗体の測定を行った。特に今回は職場不適応症の対照実験として40〜70才までの一般的な中高年層の人を選んで測定を行った。 5.結果:抗TNP抗体量は主に220〜800μg/mLの間に分布していた。その平均値は男性415±196μg/mL、女性408±249μg/mLであった。220μg/mL未満の人は以前の研究結果から免疫機能が低下していると思われるもので、これらの人はストレスを受け易い体質であると推測された。女性では、40才台から70才台まで抗TNP抗体量はほぼ同じ値を示しており、それらの平均値は380±140μg/mLであった。一方、男性の40才台の値は290±120μg/mLで女性のそれと(380±120μg/mL)比べると低く、相対的な免疫機能の低下が推測された。この事は一般的に40才台の男性が社会的にストレスをより受け易い時期である事と関係があると考えられた。
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