研究概要 |
1.DNAによる遺伝子型決定法の開発 より高精度で誰でも何処でも簡便且つ迅速に検出できる方法の一つとして,当面の目標としてO遺伝子の検出に重点を置いた対立遺伝子特異的増幅法を新たに開発した。 本方法で,血縁関係のないO型25名,AB型10名の末梢血を採取し,SDS-proteinase K-phenol法又はChelex-100(InstaGene,BioRad)法を用いてDNAを抽出し,対立遺伝子特異的増幅法によりO遺伝子の検出を15%PAGE後に銀染色で試みたところ,O型ではキシレンシアノールの泳動部位とほぼ同じ位置にバンドが検出され,AB型では検出されなかった。AB型では,高分子域に数本非特異的な増幅と考えられるバンドを認める場合があった。SDS-proteinase K-phenol法で抽出したDNAを鋳型に用いた場合に比し,Chelex-100法で抽出したDNAを鋳型にした場合は,検出されるバンドがやゝ薄くなった。 2.血液型の免疫血清学的検査による表現型及び家系調査 検査試料は現在まで19家系,65検体を収集し,他に385の血縁関係のない独立の検体を収集し,その血清学及び免疫遺伝学的調査をおこなった。今年度もA及びB遺伝子のホモ接合体(AA又はBB)であることが確実な検体はなく,今後も試料の収集と調査を続けたい。 3.遺伝子から抗原発現までの過程に関与する因子の有無 血液型の免疫血清学的検査による表現型及び家系調査による推定遺伝子型と,遺伝子検査による遺伝子型とを詳細に検討することにより,遺伝子から抗原発現までの過程に関与する因子の有無を明かにすることを当初の目的にしていたが,現在の状況は,因子の有無を論ずるに足る十分な証拠が我々の実験結果からは未だ揃っていない。今後とも検討を続けていく必要があると考える。
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