研究概要 |
本研究ではアトピ-性疾患の成立機序を明らかにするため、IgE抗体産生および好酸球増多に関与すると考えられるILー4とILー5の産生増加のもようをアトピ-患者末梢血リンパ球を用い検討した。まずアトピ-性疾患の代表である気管支喘息患者リンパ球のILー5産生能を検討した。ステロイド療法をうけていない喘息患者末梢血リンパ球をPHAで5日間培養し、培養上清中のILー5をELISAにて測定した。その結果,喘息患者リンパ球では健常者のそれに比しILー5産生が亢進していることを明らかにした。しかしILー2産生は両者で有意の差を認められなかった。またこの喘息患者リンパ球のILー5産生亢進はアトピ-型喘息および非アトピ-型喘息の両方で認められた。次にアトピ-性疾患患者末梢血よりダニ特異的T細胞クロ-ンを確立し、各クロ-ンのサイトカイン産生能を比較した。これらT細胞クロ-ンは全てCD_3,CD_4陽性で,CD_8,CD_<45>陰性であった。これらT細胞クロ-ンはILー5を産生するものとしないものの2群に分けられた。しかしマウスヘルパ-T細胞クロ-ンのTh_2細胞がILー5を産生しILー2およびIFNーγを産生しないというサイトカイン産生プロフィ-ルは認められなかった。すなわち、それらダニ特異的T細胞クロ-ンではILー5産生の有無とIFNーγ産生の有無との間にはっきりとした関連は認められなかった。今後これらクロ-ンのサイトカイン産生能の相違を種々の細胞表面アクセサリ-分子などの相違を含め検討する必要がある。
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