研究概要 |
肝硬変患者及び健常者末梢血をヘパリン採血し,比重遠心法により単核球を分離しE-ロゼット法を行い,得たT細胞分画を至適濃度のpoke-weed mitogen(PWM)単独あるいはPWMとInterferon-γ(IFN-γ)と共に培養し,出現する細胞亜分画及びその機能を測定し,IFN-γの効果を検討した。 FITCあるいはPE標識モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーによる2カラー分析を行った結果では,肝硬変患者ではPWM単独刺激時ではCD8^+細胞の発現率は19.5±5.3%,CD25^+細胞の発現率は16.5±6.2%で,IFN-γ添加PWM刺激時ではそれぞれ26.5±5.8%,23.4±6.6%とその発現率の増加を示した。CD8^+CD25^+細胞,CD8^+CD11b^+細胞,CD25^+CD11b^+もわずかながらその発現率の増加をみた。健常者ではこれらの細胞の発現率はPWM単独刺激時とIFN-γ添加PWM刺激時の間に差はなかった。CD8,CD16,CD56,CD57に対するモノクローナル抗体を用いた2カラー分析では,肝硬変患者では健常者に比較しPWM単独刺激時,IFN-γ添加PWM刺激時共にCD8^+CD57^+細胞の発現率の増加をみた。CD56^+CD16^-細胞,CD56^+CD16^+細胞,CD56^-CD16^+細胞の発現率は,肝硬変患者及び健常者でPWM単独刺激時及びIFN-γ添加PWM刺激時共に差はなかった。NK細胞活性とLAK細胞活性の測定では同様に,肝硬変患者及び健常者でPWM単独刺激時とIFN-γ添加PWM刺激時との間に差はなかった。また,CD16^+細胞,CD57^+細胞の発現率とNK細胞活性及びLAK細胞活性との間に相関はみられなかった。PWMによる抗体産生系を用いたサプレッサー機能の測定では,肝硬変患者及び健常者友IFN-γ添加PWM刺激T細胞にサプレッサー能は見られないことを示唆する結果であった。
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