研究概要 |
C求肝炎ウイルス(HCV)ゲノムRNAの構造はフラビウイルスに近似する。フラビウイルスでは,非構造領域のとくにNS3が蛋白分解酵素のコ-ド領域としてウイルス増殖に必要なRNA合成開始反応に作用することが知られている。そこで,HCVの複製桟構を明らかにする目的で,HCVのNS3の桟能解析を行った。1.PCR法によりHCVーDNA断片を得る目的で,ゲノムRNAの5'末端,NS3およびNS5について,それぞれ20merからなるオリゴヌクレオチドを作製し,Tthポリメラ-ゼによる遺伝子増幅反応を行った。その結果,各々の反応系で,C型肝炎患者血清から特異的にHCVゲノムによるDNA断片の増幅が証明できた。2.HCVのとくにNS3蛋白の桟能解析を行う目的で,増幅DNA断片の中でNS3に相当する領域についてクロ-ニングを行った。その結果,2個の最適なクロ-ンを採取できたので,これをT7プロモ-タ下流に組み込み,大腸菌での発現ベクタ-を作成した。フラビウイルスのNS3領域の桟能と比較する目的で,日本脳炎ウイルス(JEV)のNS3発現ベクタ-も作成した。このJEVーNS3とHCVーNS3を再構成する目的で,JEVーNS3発現ベクタ-の下流にHCVーNS3ベクタ-をつなぎ,両者の構造を有する4種の発現ベクタ-の作成に成功した。これによるキメラ蛋白の合成をさらに試みた。
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