研究概要 |
過敏性肺炎は免疫学的機序を介して吸入抗原(真菌,鳥排泄物など)により惹起されるびまん性肺疾患である.本症の免疫学的特徴として,原因抗原に対する抗体と細胞性免疫の成立が認められ,急性症状には抗体の関与が重要であると考えられる.抗原が蛋白であるかリポ多糖類であるかによって産生される抗体は免疫グロブリンクラス(IgG,IgA)のサブクラスが相違するとされている.また産生された抗体のサブクラスの生物活性が発症に関与していると推測される. 今回はIgGサブクラス(IgG_1,G_2,G_3,G_4)およびIgAサブクラス(IgA_1,A_2)に対するモノクロ-ナル抗体を用いた免疫酵素抗体法(ELISA)にて各サブクラスを測定した. 【1】夏型過敏性肺炎は真菌であるTrichosporon cutaneumが原因抗原とされているが,IgGのサブクラスは6例中5例にIgG_1およびG_3サブクラスが血中および気管支肺胞洗浄液中(BAL)に認められた.すなわち真菌の蛋白分画に対する抗体と推定された.【2】夏型過敏性肺炎患者血清およびBAL液中IgA抗体は6例中4例にIgA_1が優位であり,同様に蛋白抗原に対する抗体と考えられた.【3】鳥飼病では鳥類の排泄物が抗原とされているが,IgGのサブクラスは6例中5例とも血中およびBAL液中ともIgG_1およびG_3が優位であり蛋白抗原に対する抗体と考えられた.【4】鳥飼病患者血清およびBAL液中IgA抗体は5例中5例にIgA_1が優位であり,同様に蛋白に対する抗体と推定された. 以上いずれも原因抗原に対する抗体は,その蛋白分画に対する抗体と推測された.現在,急性期と無症状期の抗体のサブクラスの比較,およびT細胞リセプタ-との関連について検討を行っている.
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