研究課題/領域番号 |
03670406
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
黒木 由夫 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70161784)
|
研究分担者 |
秋野 豊明 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80045377)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 肺表面活性物質 / リン脂質代謝 / 肺胞II型細胞 / 肺サーファクタント・アポ蛋白質 / ホスファチジルコリン / ホスファチジルイノシトール / 呼吸機能 / 糖脂質 / 肺サ-ファクタント・アポ蛋白質 / ホスファチジルイノシト-ル |
研究概要 |
本研究は、肺胞II型細胞および病態肺における肺サーファクタント・アポ蛋白質、特にSP-AとSP-Dによるリン脂質代謝調節機構および生体防御機構を解明することを目的として遂行された。研究成果の概要を以下に要約する。 1.アポ蛋白質によるリン脂質代謝調節機構 (1)SP-Aによる生物活性(肺胞II型細胞で高親和性受容体を介し、リン脂質分泌を抑制する)の発現とSP-Aの構造との関係を検討した。SP-Aをコラゲナーゼで処理後単離したC末端側非コラーゲン様領域のみでも生物活性が発現した。SP-Aの生物活性を完全に阻止し得る抗ヒトSP-A単クローン抗体のエピトープは、SP-AのGlu^<202>よりC末端側に存在すると考えられ、この領域がSP-Aの受容体への結合に関わっていることが示唆された。 (2)リン脂質と結合した状態の"Native SP-D"は、SP-A受容体を介する生物活性の発現を抑制した。 (3)[ ^<125>I]標識アポ蛋白質を用いたリガンド結合法によりSP-Aはホスファチジルコリンに、SP-Dはホスファチジルイノシトールに特異的に結合することを見いだした。 (4)SP-Aは肺胞II型細胞へのリン脂質リポソーム、特に、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から成るリポソームの取り込みを、優位に促進したが、取り込まれた標識リン脂質の細胞内分布におけるSP-Aの影響を不連続蔗糖密度勾配遠心法により調べた。SP-A存在化で細胞に取り込まれたDPPCリポソームの約52%はサーファクタントの貯蔵器官であるラメラ封入体画分に回収され、SP-Aによる肺胞II型細胞へのリン脂質の取り込みはDPPCに優位で、SP-Aは取り込まれたDPPCのラメラ封入体への細胞内移動を促進していると考えられた。 2.アポ蛋白質と糖脂質特異性:アポ蛋白質と糖脂質との相互作用を検討し、SP-AはガラクトシルセラミドとアシアロGM2に、SP-Dはグルコシルセラミドに特異的に結合することを見いだした。この特性は、生体防御機構の上で重要であると思われる。 3.肺疾患と血清SP-A:肺サーファクタント成分は、肺胞腔にのみ存在し、血中には出現しないと考えられるが、肺胞蛋白症や特発性肺線維症患者の血清中にSP-Aが出現することを明かにした。SP-Aが肺傷害の血清マーカーとして有用であることが示唆された。
|