研究概要 |
Interleukinー6(ILー6)のサルコイド-シス(サ症)病態成立における役割を明確にするため,血清中,気管支肺胞洗浄液(BALF)中,及び単球,肺胞マクロファ-ジ(AM)培養上清中ILー6活性を測定した。ILー6活性は抗ILー6モノクロナ-ル抗体を用いたELISA法で検討した。対象はサ症31例,健常対照23例である。血清中ILー6活性はサ症30例中4例(13.3%)で検出されたが,正常対照では全例検出不能であった。BALF中ILー6活性は,20倍濃縮BALFを用いて検討した。結果は,サ症10例中4例(40%),正常対照で7例中3例(43%)にILー6が検出されたが、両者の間に有意差はなかった。次に,単球およびAMのILー6産生態について検討した。末梢血よりFicollーPaque比重遠心法にて単核球を分離し,プラスチック付着法により単球を得た。AMはBALFからプラスチック付着法により分離した。これらをそれぞれ5x10^5/mlに調整し、無刺激で24時間培養し上清中に分泌されたILー6量を検討した。単球培養上清中ILー6量は,サ症で110.6±54.4ng/mlであり正常者(12.4±13.2)に比べて有意(p<0.01)に高値であった。AM培養上清中ILー6量は,サ症で85.4±60.9ng/mlでありこれも正常者(8.6±10.6)に比べて有意(p<0.05)に高値を呈した。次にサ症において単球培養上清中ILー6活性とAM培養上清中ILー6活性の関連を検討してみたが,両者の間に相関はなかった。しかし,AM培養上清中ILー6活性とBALF中CD4+/CD8+比の間には正の相関(r=0.92)が認められた。以上より,ILー6がサ症病態に関連していることが示唆された。サ症肺病変では胞隔炎から肉芽腫が形成されてゆき,その過程でT細胞とAMのinteractionの重要性が指摘されている。本研究でも,AM培養上清中ILー6活性とBALF中CD4+/CD8+比が正の相関を示したことはサ症肺病変形成における両細胞の密接なかかわり合いを示すものと考えられる。
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