研究概要 |
(1)牛胎仔胸腺から,cobrotoxinーSepharose 4Bを用いたaffinity chromatographyにより,nicotinic acetylcholine receptorlike protein(AChRーLP)を分離した。これを抗原として家兎に免疫し、抗AChRーLP抗体を得た。(2)#1の抗体を用いて,ヒト重症筋無力症(Myasthenia gravis,MG)患者の過形成胸腺をVectastainのABCーalkaline phosphatase kitで染色すると、胸腺髄質に、島状に陽性細胞が見い出された。(3)胸腺から,このAChRーLP陽性細胞を分離する目的でMGの治療のために行われた胸腺摘出術の際に得られた,ヒトMG胸腺の培養を,日立の安全キャビネットを用いて開始した。MGの過形性胸腺では,primary cultureにおいて,胸腺上皮細胞が認められ,胸腺腫においては,その継代が可能であった。これらの培養胸腺組織細胞をdetergentで可容化し,SDSーpolycrylamidegel電気泳動を行い,dot blotter(Bio Dot),抗AChRーLP抗体を用いて,その蛋白抗原に対し,Western blotを行う予定で研究を進めている。(5)これらの細胞にAChRーLPの存在を確認し,その分画を分離し,それらに対するモノクロ-ナル抗体を作製するためにLewis ratまたは,C57B1/6 mouseに免疫する予定である。これらの免疫動物の脾細胞から,抗体産生細胞を検出するために,dot blotter(Bio Dot)を用いる。(6)牛胎仔胸腺から分離した,AChRーLP蛋白をcomplete Freund's adjuvant,百日咳ワクチンとともにLewis ratに免疫し,実験的重症筋無力症(experimental autoimmune myasthenia gravis EAMG)を発症させた。AChRーLPに対する血清抗体を酵素抗体法(Enzymeーlinked immunosorbent assay ELISA)で測定すると,その上昇には,初回免疫の第2週,第3週後に,booster,追加免疫が必要であった。(7)これらのEAMG ratの脾細胞を分取し,培養を開始している。(日立安全キャビネットを使用)これらの抗体産生細胞とmouse myeloma cellとのhybridizationをpolyethylene glycolを用いて行い,Bio Dotを用いて,抗体産生細胞を検出し,クロ-ンを作製していく予定である。
|