研究概要 |
【方法】 14頭の雑種成犬を用い、静脈麻酔・人工呼吸下に胸骨正中切開し心臓を露出した。閾値下刺激用電極として1.25cm^2の表面積を持つ除細動用カテ-テル電極(心腔内挿入)、または約3×5cmのパッチ電極(心表面に接着)を用いた。円盤電極を腹壁皮下に埋め込み、また不応期測定用電極を心筋に刺入した。2台のプログラム刺激装置を連動させ、閾値以下電気刺激と不応期長測定のための電気刺激(S1,S2)に用いた。不応期長は1msecの単位まで測定した。 単発閾値下刺激(Sc)は2msec幅とし、S1Sc時間は不応期長より10msec短い値とした。 連続閾値下刺激(TSc)は1msecの休止期をはさんで2msecの刺激を反復する333Hzのものとした。一部の犬では2または28msecの刺激幅を持つ33HzのTScについても実験した。TScは最後のS1の75msec後から不応期の終了までの間で実験を開始し、最初に自発収縮を生じる時点まで延長し、S2はTScの終了時点においた。 4頭の犬ではパッチ電極値下の心筋にaconitineを注入して心室頻拍を誘発し、TScによる心室頻拍停止の有無を観察した。 【結果】 ScやTScの通電のための電極として次の4種の組合せを用いた。1群:心表面パッチ電極を陰極、腹壁皮下電極を陽極。2群:心表面パッチ電極を陰極、カテ-テル電極を陽極。3群:左室前壁・後壁に装着した2枚のパッチ電極を陽極・陰極とする。4群:2群の電極を陰極・陽極逆にした組合せ。 以上の組合せを延べ14頭で実験したが、1,3,4群では抑制がみられず、第2群の組合せ(すなわちパッチ電極を陰極、心内腔のカテ-テル電極を陽極)のみでTScによるS2の抑制が7頭中2頭で見られた。ただし、抑制の見られた不応期測定部位はTSc用の電極の近傍に限局し、かつTScによる不応期延長も5msec以下と僅かであった。TScによる心室頻拍の停止は見られなかった。
|