研究概要 |
ThorleyーLawsouにより発見されたBlastー1/CD48抗原は、(1)汎白血球抗原である、(2)しかし、未分化血液細胞では発現されていない可能性がある、(3)白血球以外では気道上皮細胞に発現される、等と報告されている。が、系統だてた組織分布検索は未だ十分ではない。また、この抗原はいわゆる活性化抗原であるが、種々の患者白血球でその活性化現象が認められるかどうかは報告されていない。今年度我々は以下の2点を検討した。 1.Blastー1/CD48抗原の組織分布。 抗Blastー1/CD48抗体(6.28mAb)により種々の人体組織を使った免疫組織学的検索で次の点が明らかになった。(1)この抗原は血液細胞のみに発現される。(2)胸腺内の未分化T細胞と、未分化B細胞を意味するB前駆細胞性白血病細胞では、その発現は極わめて弱いか又は全く欠損している。 2.活性化抗原としてのBlastー1/CD48抗原。 種々の感染症患者白血球でこの抗原の発現強度を継時的に測定し、病期と比較検討した。具体的には6.28mAbにより蛍光染色し、FACS解析したが、機器条件の変動をさけるために同ー患者の細胞を病期毎に採取し凍結した。そして、後日、同時に解凍しサンプルとした。単球特異的MY4と6.28mAbを組み合わせて染色し、単球上のBlastー1/CD48抗原の発現強度をMFI(mean flnorescense intensity)値として求めた。正常人では250〜350で、年齢差を認めなかった。ウイルス性感染症(水痘,麻疹,急性咽頭炎)では急性期には400〜750と著明な高値を示し、回復期には正常化していた。細菌性感染症(扁桃炎,髄膜炎,腹膜炎)では一定の傾向がみられなかった。 つまり我々は、Blastー1/CD48抗原のFACS解析により、「ウイルス感染症では、単球が活性化される」ことを証明した。
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